2026.07.05
(初対面。)
「おお兄弟!」
彼はそう言いながらエントランスを闊歩してきます。初対面なのに。
ラ・ベッラノッテのパオロが来てくれました。ベッラノッテ=美しい夜、という名をもつワイナリーです。
“Conte Lucio” Pinot Grigio Ramato 2018
La Bellanotte
フリウリに古くからあるピノ・グリージョ・ラマートの記憶を、現代的な管理と熟成で組み直して仕立てた銅色のワインです。ベッラノッテのこのラマートは、10年来の流行の型とは一線を画すフリウリの伝統に根ざした文化的表現なのです。瓶熟だけでも4年という手の掛けようを見るだけで単なる”ビジネス”ではないということを知るのには十分なのです。ああオレンジワインね、知ってる知ってる。なんてあしらうとたぶんパオロの過激な口癖によって駆逐されるでょう。
一方で彼はとても謙虚で誠実です。決して人を見た目で判断してはいけないのです。「1本のボトルの背後には人生, 情熱, 長い労働があり、グラスを前にしたときは欠点探しを急がず、もうすこし謙虚であるべきだ。」というのです。見た目で判断してはいけません。彼はワインには詩が必要だといいます。「詩をもたない偉大なワインはない。詩がなければワインは平坦になり取るに足らないものになり、死んでしまう。」
ベッラノッテ=美しい夜,がワイナリーの名になっていること、ワインが悪名高い伯爵コンテ・ルーチョの名を冠し、その幽霊をどのようにして封じ込めたのか。なるほど詩か。彼とおなじに濃ゆい詩がこのワインにはあるのです。
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