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2026.06.01

「うちにある樽はこれだけよ」

Cat: News

白ワインに静かな強さがあるとしたら、たぶんこういう味わいだと思うのです。
イタリア, マルケ州のワイナリー、
サルタレッリの白ワイン「バルチャーナ」。
冷涼な単一畑でゆっくり成熟したヴェルディッキオ。

収穫を遅らせ、一部の葡萄が貴腐をまとうのですが甘口のワインではないのです。
貴腐を甘さに変えるのではなく、香りの奥行きに変える白ワイン。



Balciana 2020
Castelli di Jesi Verdiccio Classico superiore
Sartarelli 


蜂蜜, 熟した果実, 柑橘, アーモンド。
そこにアドリア海から吹き上がる潮と、ヴェルディッキオらしいほろ苦さが、すうっと漂います。
当主のキアッキアリーニさんは、サフランやオレガノのようなスパイスとよく合うんだと話してくれました。なるほどこのワインには、すこしだけ異国の影があります(そもそも異国なんですけれど。)。
味わいの芯はまっすぐで涼しいのです。

彼女たちは、すべてのワインをステンレスタンクだけで造ります。
「うちにある樽はこれだけよ」
そう言って彼女はワイナリーのテラスにある花壇を指差して笑っていました。
冗談のように言いますが、彼女たちがもつヴェルディッキオの純度を研ぎ出すには、ステンレスタンクだけでの醸造→熟成が最適解なのです。
潔いけれど単純ではない。
派手に香る白ではなく、料理のそばでじわじわ凄みを見せる白ワイン。


静かで強い。
バルチャーナはそういう白ワインだと思うのです。